2023年重点目標の総括と2024年重点目標

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2023年重点目標の総括

重点目標

Ⅰ. 働き続けられる職場環境改善を推進する
1)看護職の処遇改善状況を把握し、情報提供する
2)セカンドキャリアを含めた看護管理者のキャリアデザイン策定を支援する
看護師の処遇改善状況については、厚生労働省および職能団体である日本看護協会などが実態調査を実施し公表されているが、看護管理者の処遇改善については、実態がわからない状況である。そのため、2021年12月~2022年1月にかけて看護管理者の給与・管理職手当などの実態調査を実施した。以降の実態を把握するために、2023年12月に同様の実態調査を実施し、2023年の調査結果および前回調査との比較を2024年総会において公表し、会員へ情報提供した。
認定看護管理者は、管理している施設、部署において働き続けられる職場環境改善を行う立場にある一方、さまざまな看護管理課題に直面しており、創造力を発揮できるようなセルフマネジメントが必要である。このような観点で地区研修が計画され、会員の意識改革に取り組んだ地区研修会や、看護補助者や看護クラークを活用した実践報告を組み入れた地区研修会が行われた。
看護管理者のキャリアデザイン策定支援については、起業し事業を拡大しつつ地域の様々な団体役員を担っている認定看護管理者、教育機関で働く認定看護管理者など、さまざまな立場での実践報告が地区研修会に取り入れられた。報告では看護管理者の経験が医療のみに留まらず、医療・介護・福祉など連携が求められる組織での活動に広がり、成果を上げている事例が増加している。これらは今後、更に期待される認定看護管理者の領域といえる。
Ⅱ. 認定看護管理者の活動を可視化し差別化を図る
1)研究プロジェクト活動において認定看護管理者の活動を明らかにする
2)診療報酬改定に向けて認定看護管理者配置による効果を検討する
研究プロジェクト活動においては、2022年の第26回日本看護管理学会学術集会で発表した研究テーマ「認定看護管理者の病院における看護管理実践の実態~認定更新審査時の看護管理実践報告書の内容分析~」を、論文にまとめて日本看護管理学会誌へ投稿し採択された。現在、「認定看護管理者である看護師長の資格認定を受けたことによる影響に対する認識」をテーマとする研究に取り組んでいる。
第27回日本看護管理学会学術集会のインフォメーション・エクスチェンジでは「認定看護管理者として取り組む新たな地域連携の形」をテーマに、『病院敷地内に訪問看護ステーションのサテライト事業所を開設した事例』と、『完全非公開型医療介護専用SNSを活用した患者支援』について、それぞれ組織のトップマネジャーである認定看護管理者から話題提供を共有した。組織の存在意義を常に問いながら、様々なネットワークを駆使して新たな価値創造に取り組み、成果を出すことは、認定看護管理者であるからこそできることであり、責務といえるなど活発な意見交換ができた。
Ⅲ. 地区ブロック活動の活性化を図り、認定看護管理者の連携を強化する
1)都道府県の認定看護管理者の会と連携し、看護管理の課題を共有する
2)地域における次世代の看護管理者育成を支援する

合同役員会を開催して、地区ブロック活動の進捗状況を確認した。実践報告や講演を柱に、自由に語り合える時間を設定するなど、地区ブロックでの研修は、看護管理者間の貴重な情報交換の場となっている。また我が国の高齢社会が続く中、認定看護管理者の需要は高まり、総数も増加するであろうことから、地区ブロックは個々の認定看護管理者の最も身近な相談窓口であり、そのネットワーク展開にも期待がかかるところである。
「おしゃべり会」の定期開催が定着化し、非会員の参加率が高くなった地区もある。対話を繰り返し顔の見える関係の構築が進むことで、地域連携の課題や介護施設での人材不足・育成など医療機関とは違う課題が見えてきた。認定看護管理者のネットワークにより、新たな連携の在り方で課題解決がすすむことを期待する。
地区ブロックにおいては、研修会の企画・運営において都道府県代表者と連携する動きが進んでおり、6つの地区ブロックにおいて計8回の研修会を開催した。看護管理者のブラッシュアップ及び研修会における会員相互の交流により、看護管理の課題共有とモチベーション向上に寄与できた。
次世代の管理者育成としては、各地区において研修会の進行や座長、実践報告などの役割を担えるように取り組んだ。看護管理者に求められる資質や、変革理論を部下育成に活かす等のテーマで講師を招聘して地区研修会を開催した。また、日本看護協会やその他の団体から依頼された情報の周知、役割募集などにも取り組んだ。

2024年 重点目標

重点目標

Ⅰ. 認定看護管理者の現状と求められる役割を考察する

 高齢社会、労働人口の減少が問題視される状況下において、医療・看護・介護分野で看護管理者が知識と経験を求められる機会は益々増加する。2025年から新しい認定看護管理者制度が開始される予定であり、改めて現在の日本社会、地域における認定看護管理者の役割が見直されている。当会の研究プロジェクトの活動推進を含めて、認定看護管理者の現状と課題を可視化する。また2021年、2023年に実施した「看護管理者の処遇現状調査」に続き、2024年も看護管理者に焦点を当てた調査を実施し、看護管理者の置かれている現状の分析と課題を考察する。

Ⅱ. セカンドキャリアを含めた看護管理者の生涯学習とリスキリングを支援する

 人生100年時代を迎えて、看護師が専門職として計画的にキャリアデザインに取り組むこと、そして看護職を雇用する組織に学習を支援する取り組みが求められていることが、2023年6月の日本看護協会「看護師の生涯学習ガイドライン」で示された。これら時代に求められる看護師の活躍を支える生涯学習の必要性を認識し、次世代の看護管理者育成を前提とした支援に取り組むとともに、キャリアデザインを視野にいれた自身への生涯学習を実践する。
 また認定看護管理者自らがセカンドキャリアへの展望を持ち、必要なリスキリングに取り組めるよう、地域や企業で活躍する認定看護管理者を紹介する機会を多く持つ。加えて、複数年計画として看護協会と連携した就業マッチングシステムの可能性について検討を始めたい。

Ⅲ. 地域に根ざした認定看護管理者の連携と相互支援を推進する

 訪問看護ステーションや看多機など、地域の医療・介護施設で管理者を担う若い看護師が今後、増加することが予測される。今後、多様化・複雑化する社会のニーズに対応する認定看護管理者は、活動の幅が更に広がる可能性がある。そのため非会員を含めた看護管理者間での連携や情報共有の機会、多種多様な問題解決に関する糸口を見つけられるような場を設ける取り組みが求められる。当会の経験豊かな認定看護管理者が相談に応えることができる体制を、地区ブロックを中心に都道府県の認定看護管理者の会と連携して構築し、認定看護管理者の連携強化に努める。