日本認定看護管理者会役員のつぶやき

常務理事 杉本百合香

言葉の魅力

三浦しをん氏の小説「舟を編む」の再放送を見ました。2012年に本屋大賞を受賞後、映画・アニメ・TVドラマ化されています。一冊の辞書を作るために十数年間に及ぶ時間と手間をかける辞書編集部員の根気と熱意が描かれています。限られたスペースに載せる言葉を吟味し、紙質にまでこだわっていることを知り、久しぶりに辞書を引いてみたくなりました。最近は、AIやネットで簡単に言葉を検索できますが、辞書を引くことで思いがけない言葉と出会えることもあります。

言葉は時代とともに変化し、新たな意味を持つこともあります。「やばい」や「ぜんぜん」という言葉の意味が変化した時の戸惑いを思い出しました。言葉の持つ意味は一つではないため、自分には悪気がないのに他人を怒らせてしまうことがあるかもしれません。作品の中で「悪いのは言葉ではなく、使い方と選び方」「言葉は人を傷つけるためではなく守りつながるためにある」という言葉が印象に残っています。

また、「右」をどう表現するかを問う場面があります。共通認識のある言葉を使わずに相手に思いを伝えることは難しいと痛感します。医療現場でも多くの海外人材を受入れ始めており、日本語に不慣れな相手にどう説明すれば伝わるのか、改めて言葉の魅力と力を探ってみたいと感じています。

2025年10月14日